医業未収入金が発生した場合は、必ず支払期日を決め文書にサインをしてもらい、未収入金支払期日に支払いがない場合は、必ず翌日に電話連絡をして支払期日を再設定することが前提です。
そして、未収入金管理台帳を作成し、未収入金残高、個別の残高状況を確認し、滞納状況を把握すべきです。

(1)発生防止のポイント


① 医療費一覧表を作成しておき、医師が診療時に説明などを行うときに費用についての説明をすべきこと
② 公的制度を確実に利用すべきこと 例:失業保険、生活保護など
③ 保険証を提示してもらい、窓口負担割合を確認すべきこと
④ 未収入金管理台帳(例示)の管理を確実にすべきこと
⑤ 未収入金請求マニュアルを作成して、職員研修を行い手順について周知徹底させること
⑥ クレジットカードやデビットカードなど医療費支払いシステムを導入すべきこと


(2)発生時の対応の手順



(注)この手順は、標準的な手順を示したものであり、一部でStepが重複したり逆になることもありえます。


(3)回収方法 (例)

① 電話連絡
 クリニックの保険窓口負担は、少額の場合が多いためコストや手間を考えると電話連絡で十分だと考えられます。その場合、支払い期日までに入金することを約束していただき、その経過を未収入金回収の個人別記録に記載して記録を残しておきます。


② 書面
 未収入金額が一定以上の場合は、文書(振込依頼書同封)による再請求をする必要があります。期日を経過しても入金が確認できない場合は、電話連絡して期日の再設定、入金の意思確認をしましょう。


③ 内容証明郵便
 内容証明郵便のメリットは公的証拠力ですが、そのほかに心理的プレッシャーをかける効果があり、電話・書面などで請求していたのに何のアクションもなかった患者側からすぐに返事がくるということがよくあります。


④ 自宅訪問
 再三請求をしているにもかかわらず、支払ってもらえないなどの場合は、直接患者の自宅を訪問して、催促するという方法も考えられます。しかし、近所の場合に限られ、人件費などを考えるとあまり効率がよくないとも考えられます。


⑤ 少額訴訟制度
 少額訴訟制度とは、30万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、その額に見合った少ない費用と時間で紛争を解決する訴訟制度です。この制度は、通常の訴訟と異なり、1日で審理を終了し、直ちに判決が言い渡されます。

主な特徴を列挙します。
 ・原則として30万円以下の金銭請求を目的とする。
 ・被告は、少額訴訟手続きではなく、通常の手続きで審理するよう申し立てることができる。
 ・原則として1日(最初の口頭弁論の期日)で審理を終えるため、その日までにすべての証拠を提出する必要がある。
 ・少額訴訟の判決は、原則として審理終了後に言い渡される。
 ・判決には、支払いの猶予や分割払いの定めが付されることがある。
 ・判決に対しては、上の裁判所(地方裁判所)に控訴することはできず、原則として、その少額訴訟をした簡易裁判所に対して異議の申し立てをすることのみが認められている。

Q&Aの最終更新日 :2012-09-26